続・シンハラ文字の話

かなり前の話になりますが・・・
シンハラ語の文字について書いたことがありました。
あるお店の商品に書かれたシンハラ文字に普通に見たら無いんじゃないかと思う文字が書かれてるという・・・。
一旦ブログでもUPしたんですが、私自身、もう少しこのことについて調べたくて自分が納得できるまで結論は待とうと記事を一度引いてました。
もう6カ月ほど前のことなんですけどね。
私も忘れていたわけではなくて、そのためにお店にわざわざ行くほど暇でもないので次に行った時にチャンスがあれば聞いてみようと思っていたんです。
そのチャンスがあったのがやっと今月。
その後更に自分でもいろいろと考え、友人などにも相談し、いろんなことを見聞きして考えてやっと何とか自分なりの結論にたどり着きました。
今回はその話です。
シンハラ語でもちょっとマニアックな話になるので、シンハラ語に興味のない方はこの記事はすっぱり飛ばしてくださいねw
ちなみに以前書いた記事はこちら(2014年4月13日参照)
今回のこの記事と一緒に再度UPしました。
この記事を書いたのが4月。
これ、間違ってない?と思ったものの、まさかスリランカの人が作る自国の商品で間違えるってないよね〜。と思い直し、この文字があると仮定して調べていくことにしました。
いろんな本を見て、フォントも見て、まずは同じように書いてあるものがないかを探しました。
そしたら・・・
たくさんあるシンハラ文字のフォントの中に同じように見えなくもないフォントがあるのを発見!!
という事はこのフォントを使って書いたという事??
と思ったんですが、それが書式がまったく同じってわけでもないんですよね。
きわどいけど、まあ、この文字を使ったと考えればいいのかな〜?
と思ったんですが、続いて私が腑に落ちないと感じたのはその商品の文字はフォントを手書きで写したような書き方。
シンハラ語を知っていれば書かない文字の書き方なんですよね。
日本語でも「さ」はフォントでは二画で書かれているけど、実際に二画で書く日本人って私は見たことない。。。
学校でも三画で教えられるし、スリランカでも聞いてみたところ、最初は二画で教えるものの、慣れて来るに従って三画で書くようにと教えられるという。
このシンハラ文字の書き方はとにかく文字を丸写しした感じの書き方でした。
更にシンハラ文字のフォントでは確かに似たようなものは出てくるものの、この書き方をするフォントは本当に稀。
なぜそんな稀なフォントを選んでしまったのかという疑問にぶつかります。
もうこうなると1人でいろいろ考えるよりもお店に聞く方が手っ取り早い。
で、やっと今月そのお店に行くチャンスが!
1つのことを調べるにも本当に時間がかかります。
お店に行くことも本当になかなかないので。
でもその辺りスリランカ風にかなり気ままにチャンスを狙ってます。
お店には人も少なく、店員さんも暇そうだったのでちょっと質問してみました。
「ここに書かれているのはシンハラ文字ですよね?ところでこの文字は何ですか??」
最初に質問した店員さんは学校でシンハラ語を専攻していないので細かい事はわからないということで、高校卒業認定兼大学試験(Aレベル試験)でシンハラ語を専攻した店員さんが来てくれました。
で、話を聞いたところ、こんな答えが返って来ました。
「ここに書かれている文字はシンハラ文字です。
このヒゲはサンニャカというもので、これが付くと言葉の前に半音のンがつきます。
このサンニャカはシンハラ文字の「ア」にも付くことがあり、すべての文字につけることができます。
また、このサンニャカはシンハラ文字のo(ン)の半音です。」

この答え、正しいかというと・・・
このヒゲというのは確かにサンニャカ。
ただし、60文字あるシンハラ文字においてサンニャカが付くのは4文字だけ。
だから「ア」には絶対につけられません。
そして、サンニャカはシンハラ文字のo(ン)の半音であるというのは、スリランカの歴史の中で初めてシンハラ文字や言葉について書かれた『シダッサンガラーワ』という本に書かれていること。
でもその半音であるというのは今では間違っているという事が定説となっています。
半音であるなら言葉の成長過程の中でoが半音になる過程が見られなくてはいけないわけなんですけど、シンハラ語の成長過程でこのサンニャカはoとは全く別のところから発生していて関係がない=サンニャカはoの半音ではないと結論付けられてます。
店員さんの言うoの半音がサンニャカというのはAレベル試験まででは『シダッサンガラーワ』についてもやらないと思われるので(私も大学院で教えてもらったし。)一般にそう思われていても仕方がないと思うものの、サンニャカはすべての文字に付けることができるというのはおかしな話。
私も今シンハラ語を学んでいることを伝えていろいろと話をしたところ、結局この文字は何なのか結論は出ませんでした。
店員さんは最後には
「よく見ると確かにこの商品の文字は確かに間違っていますね」
と言っていたものの、こういうフォントもないわけではないので私も100%間違ってると今の時点で思っているわけではないからと伝えて帰って来ました。
一般的にシンハラ語は確かにいろいろと難しいところもあるので、そういう意味で何が正しいのか知っている人も少なくて、他人の間違いを訂正するほどの知識も自信もない場合が多いので、
「これ、間違ってない?」
「そうだね〜・・・??」

で終わってしまう事が多いです。笑
結局お店に聞いても納得する答えは得られずにいたわけですが、その後スリランカの友人に聞いた答えが今回のこの件のとどめとなりました。
その答えが・・・
「Keikoさん、それは探しても答えはないですよ。
そういう商品を作っている人は商売をするために作っているのであり、それが正しいかどうかは関係ないんです。
シンハラ文字が間違っていようが売れればいいんでしょう。
実際にその商品はお店に来た人たちが気に入って買っていくんだし。
確かに文字が間違っているのはスリランカ人としてとても恥ずかしいことだけど、それを売って商売をする人たちにそのモラルはないんですよ、この国では。
そしてそれに気付かないほどにこの国の人たちはシンハラ語のことに無関心になってしまってるんですよ。
悲しいことでだけど。
でも、残念だけどそれはそれ以上答えを探しても見つからないんじゃないかな?
それよりもKeikoさんから『シダッサンガラーワ』とか言われた店員さんもびっくりしたでしょうね。
私もそんな詳しい事まではシンハラ語のこと知らないですよ。」笑

この言葉を聞いてなんとなく、私の思っていたことをきれいに代弁してくれたようで不思議な腹落ちになりました。
間違っていても売れればいい。
それがすべてなら、それ以上に何かをする必要もなく、訪れる観光客もその商品を大量に買っていく。
それなら間違っていても構わない。
売れるならいいじゃないか。
そういうことなんだよね。。。
きっとなにか理由があってこうしているんだと信じたい気持ちがあったけれど、結局結論はそこなんだろうな〜。
そう思ってこの件についてこれ以上調べることは止めようと思ったのでした。
最後の希望は「間違っている」と思った店員さんがお店側にそれを伝え、いつか文字を直してくれること・・・かな?
でも・・・無理でしょうね。。。
そんなわけで、今回のこのシンハラ文字についての話もやっとのことでちょっと消化不良の結末となったのでした。

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