ムルックの男の子

今日は家からもそれほど遠くないコロンボ近郊で一人の男の子に会ったお話。
ある日の夜10時半も過ぎたころに11時まで営業しているスーパーに友人何人かで車で寄ったところお店を出たところで手にかごを持った3〜4年生くらいの男の子が近づいてきて何か聞いてきた。
こういう場合は「お金をください」「何か買ってください」と言って来るか何かだと相場が決まっているのでとっさにそっけなく(いらない)と手を振って話もしないで車から離れてもらった。
でも男の子が離れた後、
「あの子、手にかごを持ってたから何か売りに来たんだと思うんだけど、こんな時間に何を売ってるんだろう?」
という話になり、もう一度男の子が歩いてきた時に呼びとめて話をしてみた。
男の子はムルックというスリランカのピリ辛のカリントウのようなお菓子を売っていた。
いくつかムルックを買った後、一緒にいたスリランカの友人が
「学校に行ってるの?」
と聞くと
男の子:「行ってるよ。」
友人:「ホントに?どこの学校?」
男の子:「○○。」
友人:「で、いつもここで売ってるの?」
男の子:「学校から帰ったら売るんだ。」
友人:「ちゃんと勉強しないとダメだよ。わかってる?」
男の子:「・・・。」

そこまでとてもぶっきらぼうに男の子は答えていたんだけど・・・
友人:「オレもここの出身なんだ。」
その言葉に急に男の子の目が輝いて喰いついてきた。
男の子:「ホント!?どこの学校だったの?」
友人:「この近くなんだよ。」
男の子:「どこの学校?」

急に男の子の反応が変わったことにびっくりしながら
友人:「いつもオレ、この辺にいるんだ。だからしっかり勉強しないとダメだよ。」
男の子:「わかった。」

そういって男の子と別れた。
その男の子の言っていた学校はキリスト教の学校の名前だった。だからきっとキリスト教の子だったんだと思う。
ムルックは1つ10ルピーでこんな夜中に買う人と言えばきっとこの子がかわいそうだと思って買ってくれる人だけ。
本当は子供がこんなところでそんな時間に売っていることがおかしいんだけど、その背景には親の問題が見え隠れする。
家でお母さんか誰かが作ったムルックを男の子は深夜まで売り歩いてお金を稼ぐ。
でもそういう家に限ってせっかく得たお金は生活費ではなく親のお酒代になってしまったりしていたりする可能性も高い
男の子はすでに学校にも行っていないのかもしれない。
推測でしかないけどそんな風に感じた。
スリランカにはこういった子供は確かにまだまだ沢山いる。でもこういった子供を何とかするというのはとても難しい問題。
簡単に他の人が介入して解決する問題ではなく、どのような形で男の子を手助けしても両親が変わらなければどうしようもなく、どんな親でも子供が親と離れるのがいいとは思えない。
今日、ムルックを買ってあげたところでその男の子の生活はいつもと変わらないだろうし、「勉強しろよ」という言葉は毎晩のように聞いている言葉だったんだと思う。
でも「同じ地区の出身」という言葉を聞いた瞬間の男の子の変化はびっくりするものがあった。
言った本人は男の子を元気付けたくて言った真実ではない言葉だったけど、男の子にとってはお金でも生活でもなく一緒の出身の人に出会えたということが何よりもうれしかったみたいだったのがとても印象に残った。
いつかあの子の生活が良くなって、夜にムルックを売り歩かなくていいようになりますように。[[pict:kirakira]]
手助けは何もできないけどそう願いつつ食べてみたムルックは想像以上にカリカリしておいしかった。

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